病歴・就労状況等申立書の記入例【発達障がい(ASD・ADHD)】時期別の例文と書き方のコツ

「病歴・就労状況等申立書を書こうとしたけれど、何を書けばいいのか手が止まってしまう」
「子どもの頃のことなんて、うまく思い出せない」
「困っていることはたくさんあるのに、文章にすると”普通に生活できている人”に見えてしまう」

発達障がい(ASD・ADHD)の方やご家族から、こうしたご相談をとても多くいただきます。発達障がいの困りごとは外から見えにくく、ご本人にとっては「当たり前」になっていることも多いため、申立書に書き起こすのがとても難しい書類です。

この記事では、発達障がいの方の病歴・就労状況等申立書について、時期ごとの記入例と、審査で伝わる書き方・伝わりにくい書き方を、発達障がいの障害年金を数多くサポートしてきた社労士が解説します。

この記事でわかること

  • 発達障がいの申立書は「いつから」書くのか
  • 幼少期・学生時代・就職後・現在の記入例
  • 就労状況・日常生活状況の書き方と例文
  • 審査で伝わりにくい書き方

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発達障がいの申立書が難しい3つの理由

1. 困りごとが「当たり前」になっていて言葉にしにくい

発達障がいの特性は生まれつきのものです。ご本人にとっては、忘れ物が多い、予定が変わるとパニックになる、といったことが小さい頃からずっと続いている「普通のこと」になっています。そのため、いざ書こうとしても「特に困っていない」と書いてしまう方が少なくありません。

2. 書く期間がとても長い

発達障がいは、生まれたとき(幼少期)から現在までを書くルールがあります。30代・40代の方であれば数十年分を振り返ることになり、続紙を使うことも珍しくありません。

3. 「できていること」ばかり書いてしまう

「大学を卒業した」「会社に勤めている」という事実だけを書くと、審査では「日常生活に大きな支障はない」と受け取られることがあります。大切なのは、その裏でどんな支えや配慮があったのかを書くことです。

書き始める前の準備

いきなり様式に書き始めるのではなく、まずは材料を集めると驚くほど書きやすくなります。

  • 母子手帳・通知表・連絡帳:「落ち着きがない」「友達とのトラブルが多い」など、先生のコメントは客観的な記録になります
  • ご家族への聞き取り:小さい頃のことは、ご本人よりもご家族の方が覚えていることが多いです
  • 職歴のメモ:勤め先、勤務期間、辞めた理由をざっくり一覧にします
  • 通院歴:病院名、通院期間、診断名、服薬の有無
  • 診断書の内容:申立書と診断書の内容がずれないよう、可能であれば先に確認します

期間は3〜5年ごとに区切り、「受診していた期間」と「受診していなかった期間」を空白なく続けて書きます。受診していなかった期間も、その理由と生活の様子を書くことが大切です。

【時期別】病歴・就労状況等申立書の記入例(発達障がい)

ここからは、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)の特性がある方を想定した記入例です。あくまで一例ですので、ご自身の実際の状況に合わせて書き換えてください。事実と違うことや、大げさな表現は書かないことが大前提です。

幼少期〜小学校(受診していなかった期間)

言葉が出るのが遅く、3歳児健診で指摘を受けたが、受診には至らなかった。保育園では一人で同じ遊びを繰り返し、ほかの子と一緒に遊ぶことができなかった。小学校では忘れ物が毎日のようにあり、母が毎晩ランドセルの中身を確認していた。授業中に席を立ってしまうことがあり、通知表には毎学期「落ち着きがない」と書かれていた。友達とのトラブルが多く、休み時間は一人で過ごすことが多かった。

ポイント:「受診していなかった理由」(健診で指摘されたが受診しなかった、家族が気づかなかったなど)と、家族がどんな手助けをしていたかを書きます。通知表のコメントは具体的な根拠になります。

中学校〜高校(受診していなかった期間)

中学校では集団行動になじめず、クラスで孤立した。2年生の頃からいじめを受け、半年ほど保健室登校をしていた。提出物の期限を守れず、成績は授業の理解度に比べて大きく低かった。高校は通信制に進学し、レポートの提出は母が毎週スケジュールを作って声をかけることで、なんとか卒業できた。

ポイント:「卒業した」という結果だけでなく、卒業するためにどんな配慮や支えが必要だったかを書きます。保健室登校、通信制、家族のサポートなどは大切な情報です。

就職後(受診していなかった期間)

高校卒業後、一般企業に事務職として就職した。複数の指示を同時に受けると何から手をつければよいかわからなくなり、ミスが続いて毎日上司から注意を受けた。電話対応で聞き取った内容を覚えておけず、メモを取っても何を書いたのか後でわからなかった。職場の人間関係にも悩み、1年で退職した。その後の4年間で3社に勤めたが、いずれも同じ理由で1年以内に退職している。

ポイント:転職が多い場合は、辞めた理由が特性とどう関係しているかを書きます。「人間関係が合わなかった」だけでなく、なぜ合わなかったのかまで書くと伝わります。

受診・診断後(受診していた期間)

4社目を退職した後、気分が落ち込んで眠れなくなり、母に付き添われて○○クリニックを受診した。検査の結果、自閉スペクトラム症と注意欠如・多動症と診断された。服薬を始めたが、朝起きられない日が続き、通院の予約日を忘れてしまうため、母がカレンダーで管理して付き添っている。現在も週の半分以上は日中も横になって過ごしている。

ポイント:発達障がいの方は、うつなどの二次障がいをきっかけに初めて受診するケースも多いです。初診日がわからない場合の記事もあわせてご覧ください。

「うまく言葉にできない」が、いちばん多いお悩みです

当事務所では、発達障がいの方のご相談を数多くお受けしています。
ご本人が言葉にしにくい特性や困りごとを、お話をうかがいながら一緒に整理し、書類に反映します。
電話や対面が苦手な方は、文章のやりとりだけでもご相談いただけます。

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就労状況の書き方と記入例

働いている期間は、勤務時間や出勤日数だけでなく、職場でどんな配慮を受けているかを必ず書きます。働いているからといって、障害年金がもらえないわけではありません。くわしくは働いていると障害年金は不利?の記事で解説しています。

伝わりにくい書き方伝わる書き方
障害者雇用で週4日働いている。障害者雇用で週4日、1日5時間勤務。作業は一つずつ紙に書いて指示してもらい、電話対応と来客対応は免除されている。指示が変わると混乱するため、決まった担当者が毎朝その日の作業を確認してくれている。
仕事は問題なくこなせている。単純な入力作業は続けられているが、帰宅後は疲れ切って夕食をとらずに寝てしまう日が週3日以上ある。休日は一日中横になって過ごしている。

日常生活の伝え方

日常生活の状況を伝える時に大切なのは、「できる」か「できない」かではなく、「ひとりで、自発的に、適切に」できるかという視点です。

項目伝わりにくい書き方伝わる書き方
食事自分で食べられる。声をかけられないと食事をとることを忘れる。同じ物ばかりを食べ、母が用意しないと菓子パンだけで済ませてしまう。
入浴入浴できる。入浴の手順にこだわりがあり1時間以上かかる。疲れていると数日入らないことがあり、家族に促されてようやく入る。
金銭管理・買い物買い物には行ける。欲しい物があると我慢できずに買ってしまい、給料日前にお金がなくなる。現在は母が通帳を管理し、週ごとに決まった額を渡されている。
対人関係特に問題はない。相手の表情や冗談の意図がわからず、トラブルになることが多い。家族以外とはほとんど会話をしない。

ひとり暮らしをしている方も、家族が週末に掃除や買い物を手伝っている、ヘルパーを利用しているなど、周りの手助けがあって成り立っている生活であれば、その内容を具体的に書きましょう。

伝わりにくい書き方

  • 「つらい」「大変だった」だけで終わる:気持ちだけでなく、何ができなかったのか、誰がどう手伝ったのかを書きます
  • 診断書と内容が食い違う:診断書に「ひとり暮らし」とあるのに申立書に「家族と同居」と書くなど、矛盾があると信頼性が下がります
  • 期間に空白がある:受診していなかった期間も含めて、途切れないように書きます
  • 大げさに書く:事実と違う内容は、診断書や他の資料との食い違いにつながり、信頼性が下がります

申立書全体の基本的な書き方は初心者向け|申立書の書き方、発達障がいの審査の考え方は発達障がいの障害年金の記事でくわしく解説しています。

よくある質問

Q. 子どもの頃のことをほとんど覚えていません。

ご家族への聞き取りや、通知表・母子手帳などの記録を手がかりにしてください。ご家族も覚えていない場合は、わかる範囲で書けば大丈夫です。無理に作った内容を書く必要はありません。

Q. 大人になってから診断されました。それでも幼少期から書くのですか?

はい。発達障がいの場合は、診断を受けたのが大人になってからでも、幼少期からの様子を書くのがルールです。

Q. 本人が書けない場合、家族が書いてもいいですか?

はい。ご家族などが代わりに作成することができます。その場合は、様式にある代筆者の欄に、書いた方のお名前とご本人との続柄を記入します。社労士に依頼した場合は、社労士がお話をうかがって作成します。

まとめ

  • 発達障がいの申立書は、幼少期から現在までを3〜5年ごとに区切って、空白なく書きます
  • 「できたこと」だけでなく、その裏にあった家族の支えや職場の配慮を書きます
  • 気持ちではなく、具体的な場面と頻度で書くと伝わりやすいです
  • 診断書と内容がずれないように確認し、事実だけを書きます

申立書は、審査をする人にご本人の生活を伝えられる、ほぼ唯一の書類です。けれど、発達障がいの方にとって、自分の特性を言葉にすることはそれ自体がとても難しい作業です。書いている途中で手が止まってしまっても、それは決してあなたのせいではありません。

当事務所では、発達障がいのご本人やご家族から、うまく言葉にできない困りごとを丁寧にうかがい、申立書に整理するお手伝いをしています。「私ももらえるの?」その疑問、無料で確認できます。

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ひつじ社労士事務所
はじめまして。ひつじ社労士事務所の石島佳代(いしじまかよ)です。 「一人で悩まないで大丈夫。」 あなたの不安な気持ちに寄り添い、障害年金という形で支えになれたら。そんな思いで、活動しています。 どうぞお気軽にお声がけください。

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