知的障害の初診日 全解説
はじめに
知的障害で障害年金を検討されている方から、次のような質問をよくいただきます。
- 「知的障害は“先天性”だけど、初診日はいつになるの?」
- 「医療機関を受診していない場合はどうすればいい?」
- 「発達の遅れで病院に行ったのは小学生のとき…これでも大丈夫?」
結論として、
知的障害(精神遅滞)の初診日は“出生日”と取り扱われます(原則)。
これは「先天性の障害」として扱われるためで、医療機関の受診歴に関係なく、出生日が初診日となります。
この記事では、
✔ 先天性の知的障害の初診日のルール
✔ 例外となるケース
✔ 初診日で何が変わるのか(制度・等級・審査ポイント)
✔ 書類の注意点
を専門社労士が分かりやすく整理します。
結論|知的障害の初診日は「出生日」です。
厚生労働省・日本年金機構は、以下のように定義しています。
知的障害は“先天性の障害”として扱われるため、初診日は出生日とする
つまり、
- 赤ちゃんの頃に医療機関にかかっていなくても
- 小学生になってから受診していても
- 診断が成人後であっても
初診日は出生日になる、ということです。
これは知的障害が「生まれつき知的機能の障害がある」と位置付けられているためです。
例外あり|知的障害で“出生日以外”が初診日になることも?
次のようなケースでは、出生日以外の初診日になる可能性があります。
発達障害(ASD・ADHD)の診断も受けている
知的障害+自閉スペクトラム症(ASD)
知的障害+注意欠如多動症(ADHD)
このように複数の障害がある場合、主病名によって初診日の考え方が変わります。

▼ 主病名が発達障害(ASD/ADHDなど)の場合
→ 初めて特性で受診した日が初診日
(出生ではなく小児科などの医療機関を初めて受診した日)
▼ 主病名が知的障害の場合
→ 出生が初診日
主病名の判断は 主治医が行います。
ただし、審査では
「どちらの障害で日常生活が困難になっているのか」
が重視されます。
➡ 主治医に正しく伝えるための方法は後述します。
【重要】初診日で“何が変わる”のか?
初診日は以下の4つに影響します。
① どの制度で申請するかが決まる(基礎年金 or 厚生年金)
- 初診日=出生日 → 基礎年金
- 初診日=就労後 → 厚生年金になる可能性あり
② 保険料納付要件
知的障害は先天性のため、
保険料納付要件を問われません(20歳前初診)。
これは大きなメリットです。
③ 障害認定日(1年6ヶ月後)
出生=初診日のため、
原則として「20歳時点」で障害認定日に到達し、
20歳前障害による障害基礎年金 の対象となります。

④ 遡及請求(さかのぼり)ができるかどうか決まる
障害認定日が決まると、
その日から1年以上たっている場合には、
障害認定日の“当時の状態”をもとに、過去の年金を受け取れる可能性があります(最大5年分)。
これは、「本来ならもっと早く受け取れたはずの年金」を取り戻せる制度です。


審査で重視されるのは「生活能力」
知的障害の審査では、WISCやIQ値に加えて、
日常生活の困難の程度も評価されます。
▼ 判断される主な項目
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び対人関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
「どれだけ支援が必要か」を伝えることが重要です。
書類の注意点|誤りやすいポイント
① 初診日欄には「出生日」を記載
主治医の診断書にも、
「先天性のため出生時を初診日とする」と明記されます。
② 遅れて診断された場合も「出生日」
あまりないケースですが、例え成人後に知的障害と診断された場合でも、先天性の知的障害と診断された場合は、出生日=初診日で申請できます。
③ 発達障害もある場合は主治医への相談が必要
知的障害と発達障害(ASD・ADHDなど)が両方ある場合、
どちらを主病名とするかで、初診日や必要書類が大きく変わります。
そのため、
日常生活の困難さやサポートが必要な場面を主治医に正確に伝えた上で、
どの障害が生活により大きな影響を与えているのかを判断してもらうことが重要です。
主治医の判断が、
・初診日の取り扱い
・診断書の記載内容
・審査の方向性
にそのまま反映されるため、事前の相談がとても大切です。

よくある質問(FAQ)
Q1. 出生時の医療記録がなくても大丈夫?
→ はい、問題ありません。
知的障害は先天性と扱われるため、証明書は不要です。
Q2. 成人後に知的障害と診断された場合、初診日はどうなりますか?
→ 出生が初診日になります。
Q3. ASD+知的障害で診断されています。初診日はどうなりますか?
→ 主病名によって初診日は変わります。
知的障害とASD(自閉スペクトラム症)・ADHDの両方の診断を受けている場合、
「どちらの障害が生活に大きく影響しているか」をもとに、
主治医が主病名を判断します。
そのため、
あなたが日常生活でどのように困っているかを、主治医に正確に伝えることがとても大切です。
【先天性の知的障害が主病名の場合】
→ 初診日は 出生日 になります。
【ASD・ADHDの特性が主病名の場合】
→ 初めて発達の特性で受診した日が 初診日 になります。
(小児科・発達外来を受診した日など)
【後天的な理由で知的機能が低下した場合(脳外傷・病気など)】
発達期・成人期を問わず、
事故や病気など後天的な原因で知的機能が低下した場合は、
障害年金では 「知的障害」ではなく「器質性精神障害(高次脳機能障害など)」 として取り扱われます。
そのため、
初診日は“その症状で最初に医療機関を受診した日” になります。
例えば…
- 交通事故による脳外傷のあと、知的機能が低下した
- 脳炎・脳腫瘍・低酸素脳症などで認知機能に障害が残った
- 精神疾患(統合失調症・うつ病など)の悪化で認知機能が大きく下がった
これらは、
生まれつきの知的障害(先天性)とは扱いが異なり、
原因となった症状の初診日がそのまま初診日となります。
まとめ|知的障害は“出生=初診日”で申請できます
- 原則:出生=初診日
- 例外:主病名が発達障害、後天的な理由で知的機能が低下した場合
- 生活能力の困難が審査の中心
- 書類の準備をしっかりすることで結果が大きく変わります
迷ったときは社労士に相談を
初診日は、障害年金の可否を左右する最重要ポイントです。自分で判断して誤りがあると、診断書を取り直すことになり、必要のない診断書代を払うことにもなりかねません。
知的障害の初診日で迷った場合は、専門の社労士に相談することをおすすめします。
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